ペインクリニックだより 

ペインクリニック@インターパーク倉持呼吸器内科 より日々のお知らせや最新医学情報をアップします。

諦めない ガンコな肩コリ・腰痛② ~筋膜性疼痛 myofascial pain syndrome(略:MPS)ではありませんか?~

 

パート①に引き続き、ガンコな痛みの原因となる筋膜性疼痛について、お伝えします。

最初に筋膜=「筋肉と筋肉の間にある膜」をイメージしてみましょう。

 

ピタッとした下着の左袖をグッと下にひっぱってみてください。

すると離れた部位の右肩が引き連れるような感じがしませんか?

筋膜はその下着のように全身で繋がっているので、

筋膜の一部分が痛みの原因であっても、先ほどの引き連れの原理によって、

離れた部位にも痛みを生じさせるのです。

 

このように、本来の原因となる筋膜から離れた場所に生じる痛みを 

医学用語で「関連痛」と言います。

 

筋膜性疼痛の特徴は、「関連痛」があること なのです。

 

例えば、一般に膝が痛い場合、膝関節に原因をあると考えますが、

ももの筋膜に原因があることで生じた関連痛の可能性もあるのです。

 

筋膜性疼痛は、そのもの単独でも、もしくは他の病気と合併しても起こります。

 

原因は、以下が挙げられます。

 ①反復動作

 ②過度の筋不可(例:筋力以上に重い荷物を持つ)

 ③持続的に不良姿勢をとっている(例:パソコンの長時間作業)

 

 

諦めない ガンコな肩コリ・腰痛① ~筋膜性疼痛をご存じですか?

 

 

ガンコな肩コリ・腰痛の原因の1つとなる・・・

筋膜性疼痛(きんまくせいとうつう)

英語表記で myofascial pain syndrome(以下略:MPS

という病気についてお伝えします。

 

 

筋膜性疼痛とは、筋膜という筋肉と筋肉の間にある膜=筋膜を由来とする病気のグループ名です。

比較的最近になって認知度があがってた病名ですが、今までにはなかった新種の病気というわけではありません。

超音波エコーなどの検査解像度があがったり、医師の経験値が積み重なることで、提唱されてきました。

 

 

筋膜性疼痛を簡単に一言でいうと、「身体のコリからくる痛み」です。

少し詳細に表現するならば、

「筋肉と筋肉の間にある膜(=筋膜)に痛みを敏感に感じ取る場所(=トリガーポイント)があって、その場所から離れた部位にも痛みがある状態」

 

この筋膜生疼痛は、ガンコな慢性痛でけではなく、しびれ・めまい・動悸など内科的な症状をも引き起こすこともあるのです。

慢性疼痛に認知行動療法のススメ

慢性的な痛みに悩む方へ

 
一般的な痛み止め薬の服用・注射をしても、痛みに苦しまれている患者さんへ
 
ぜひオススメしたい治療が ”認知行動療法” です。
認知行動療法” とは、痛みに向き合う心持ちを自己管理する治療法 です。
 
「痛みを取って欲しい、痛みがなくなれば○○も出来るようになるのに。。。」
と考えるのは患者さんとして至極まっとうな欲求なのですが、
どんな名医でも、痛みを完全に取れる治療は保証されていません。
そして、痛みに思考がとらわれすぎると、体の動きも鈍くなり、
痛い上に更に動かなくなる、動かせなくなるという悪循環に陥ります。
 
そこで、認知行動療法 というアプローチによって、
”痛くても、動けるのが良い” という考え方 を身につけるのです。
・世の中に神の手を持つ名医はいないんだ
・痛みがゼロになる特効薬はないんだ
・痛くても、昨日出来なくて今日できたことはないか探してみよう
・骨折や腫瘍がない限り、動いてもいいし、動かせる範囲があるはず
 
厚生労働省科学研究費にて作成された
慢性疼痛患者のためのセルフケアガイドブック 
認知後療が高い推奨度をもって紹介されています。
 
認知行動療法の実際については、追って記していきます。

 

BMIとがんの関係

ペインクリニック外来を受診される腰痛・膝痛などの患者さんに、減量をオススメすることがあります。

減量と一言でいっても、一朝一夕にはいかず、私自身も耳が痛い言葉です。
痛みが軽くなる以外にも、減量の良い動機づけはないかな、と探していたところ、
 
BMIとがんの関係” についての論文を見つけました。
以下の論文によれば、BMIの高低で、がんの発症リスクも変わってくるというのです!

Body-mass index and risk of 22 specific cancers: a population-based cohort study of 5·24 million UK adults
Original 
Lancet. 2014; 384(9945); 755-765
Krishnan bhaskaran, et al.

イギリスのビッグテータ(500万人以上!)を追跡して、BMIと22種類のがんの発症との関係を調べています。
500万人=大阪+横浜の人口 です。
 
結果としては、17種類のがんでBMIとの相関を発見しました。
BMIが5上がるごとに、子宮・胆のう・腎・子宮頚部・甲状腺がん白血病のリスク上昇していました。
一方で、BMIと発症リスクに逆の相関も見られたがんもありました。
BMIが低いと、前立腺がん・閉経前乳がんの発症リスクが上昇したのです。

つまり、一概にBMIは低ければ低いほど良いとは言えないのです。
 
この論文の解釈の注意点としては、
データ解析が後ろ向きで対照群を設定したわけではないので、
BMI高い=がんを発症 とは断定できないということです。

しかし、多くの交絡因子が絡んでいるなかで調整した結果でも、
子宮がんの41%、胆のう、腎、肝、結腸癌の10%において、高BMIが関与していました。
 
とうわけで、適切なBMI日本肥満学会によると、18.5以上 25未満)を維持することで、がんになる素因の一つを排除できるわけでした。

=======================================
毎週木曜日午前中にダイエット外来も開いています。
ご相談のあるかたは、ぜひどうぞいらしてください。
=======================================